生物的防除の主役となる寄生性昆虫の研究を化学生態学、行動生態学の両面から行っています。
以下にその概略を説明します。

ハマキコウラコマユバチの学習行動

  チャノコカクモンハマキなど数種のハマキガ科の卵ー幼虫寄生蜂です。
寄主卵塊を発見する際に、周辺の植物葉成分を連合学習し次からの探索効率を上げていることがわかり、学習のメカニズム、化学成分の識別能力などについて研究を進めてます。
これまでの研究から、一度学習した成分の記憶は5日ほど維持できること、学習には3回以上の繰り返しが必要であること、植物種間の識別は近縁種間では困難であること、などが明らかになりました。

ブランコヤドリバエの寄主加害植物への誘引

  アワヨトウなど多くのチョウ目幼虫の寄生バエです。本種の寄主発見行動については、寄主加害植物揮発成分が雌バエを誘引すること、植物上では寄主糞が定着因子として働いていること、寄主の動きが産卵行動の刺激として重要であることなどが明らかになりました。現在、加害植物から出る誘引成分の同定を行っています。

コレマンアブラバチの寄主加害植物への誘引

 数種のアブラムシを寄主とする寄生蜂です。一般にアブラバチ類は、自分が育って羽化したアブラムシと同種アブラムシが食べている植物の出すにおいに誘引されることが知られています。これは羽化時に植物成分を学習し、そのにおいに対して定位する傾向があることを示していますが、アブラムシによって加害されたボリジには、経験する植物にかかわらずアブラバチを誘引するらしいのです。この現象をより詳しく調べるため、4方向オルファクトメーターや風洞を使って生物検定を行っています。

ギンケハラボソコマユバチの寄主発見行動

 多くのチョウ目幼虫を寄主とする寄生蜂です。研究室ではアワヨトウ幼虫を寄主として用いていますが、主に若齢幼虫が好まれます。何を手掛かりにして寄主発見を行っているかを調べているうちに、寄主糞に反応することがわかりました。現在この成分について機能を調べたり化学分析を行っています。また、他の大学の研究では、寄主の動きが重要であることも調べられています。